日本は借金大国というのは政府のデマ
国民の不安をあおる財務省の発表
2022年8月、財務省の発表によると「国の借金」1255兆円となり国民1人当たり1000万円超となっているというニュースが報道されました。
このニュースをそのまま受け取れば、赤ん坊から高齢者の国民すべてが1000万円超の借金を背負っていることになります。
しかし、このニュースを聞いて危機感をもつ国民はどれだけいるでしょうか。毎年報道される「国の借金」の構造について正しく理解する必要があります。
毎年3月末と6月末に財務省が発表する「国の借金」とは、国債と借入金、政府短期証券を合計した金額を意味します。
その金額が、2022年6月末の時点で1255兆1932億円で、3月末時点より13兆8857億円増え、過去最大額を更新しました。2022年7月1日時点の総務省の人口推計は1億2484万人で、借金の額をこの数値で割ると国民一人あたりおよそ1005万円になるということです。
国民が「国の借金」を額面通りに受け止めて、それならば増税されても仕方ないとか、もっと節約して生活費を切り詰めないといけないと思う人もいるでしょう。
さらには、ギリシャのように債務不履行となって国が破綻するのではないかという不安に陥る方もいるかもしれません。
しかし、これについては国が国民に対しておこなっている最大のデマです。
なぜなら、国にお金を貸している貸主は国民だからです。国の借金はほとんどが国債でまかなっています。
国債は日本政府が発行し、国債の購入しているのは個人や企業の場合もありますが、ほとんどが日本銀行や都市銀行・地方銀行です。
私たちは都市銀行や地方銀行に預金を預け、都市銀行や地方銀行は日本銀行に私たちの預金を預けます。
つまり、日本銀行も都市銀行・地方銀行も私たちの預金を使って国債を購入しているのです。
そして、これらの銀行が国債を購入するために支払った代金が国の財源に充てられているということです。
私たちは毎月税金を支払っていますが、それ以外に銀行の預金をも国の財源に充てられているのです。
国の借金はあってないようなもの
この話を知って、銀行は預金者に無断でお金を使ってよいのかと思われる人もいると思いますが、銀行は私たちが預けたお金を民間に貸そうが国に貸そうが銀行の裁量で決めることができ、お金を貸して利子を得て銀行という業種が成り立っているのです。
もちろん、国は借金をしたら、その借金は返さなければなりません。国債には個人向けと金融機関向けとがあって、個人向けの国債には2021年6月時点で最低0.05%は保証されていますので、銀行に預金を入れたときの利子(メガバンクで0.01%)より高い利子がつきます。
個人向けの国債の満期は10年~40年までありますが、国は満期が来たら元金と利子を償還するための費用を税収からまかないます。
一般の金融機関向けに発行された国債は、いったん日銀が買い取ります。
日銀が国債を買い取ることで市場に通貨が出回りデフレを脱却するという狙いがあります。
これはアベノミクスの三本の矢のうちの第一の矢にあたりデフレ脱却のためにとった政策なのです。
そして、日銀は買い取った国債については満期が来ても国に元金の返済を求めたりはしません。
日銀が国に元金の返済を求めれば、国の税収が割り当てられ、市場に出回る通過量が減少するのを防ぐためです。
実務的には日銀が買い入れた国債で満期が来たものを、「日銀乗換」という手続きをとって、日銀が一般の銀行から買い取って保有していた国債を、引き続き借り換えることができるため、満期が来ても国は元金の返済は不要になります。
このことが、国は借金を返さなくてもよいとか借金の元金は返済不要を言われる所以になります。
また、国債のほとんどが金融機関向けですので、国は金融機関に国債をを買ってもらい、金融機関が国債を購入する代金は国民の金融資産から割り充てられているため、国民の金融資産の合計額が国の借金を上回る
限り、国が財政破することはなく、国の借金はあってないようなものだということです。
2021年12月末時点で国民の金融資産はの合計額は前年同期比4.5%増の2023兆円となっています。
つまり、国が国民の金融資産から借金を続けるかぎり、国は財政破綻することはないということです。
世界の中では日本国民の金融資産総額は、中国、アメリカに次ぐ第3
位で、一世帯の平均金融資産総額は1880万円でアメリカに次ぐ第2位となっています。
また、変動相場制の下で自国通貨を発行できる国は限られていて、日本の円は、中国の人民元とならんで、米国ドル、英国ポンド、欧州ユーロに次ぐ準国際基軸通貨になっています。
財務省のホームページには「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と明記されています。
日本の国債は100%円建てであり、自国通貨建ての国債だデフォルトした事例はかつてありません。
なぜなら、自国通貨を発行できる国は、通貨発行権を持っていますので、政府の裁量で通貨を発行できるからです。
日本は借金大国ではなく債務優良国
G7(先進主要七か国)の中で債務額とGDP(国民総生産)の比率を比べてみると、日本は最も債務の増加率が高いのがイギリスで次いであまりか、フランス、カナダ、ドイツで日本はその次にランクし、もっとも債務が少ないイタリアとほぼ同じです。
ですから、先進国内においても債務大国ではなく債務優良国です。おまけに、日本は世界の中で財政出動の最も少ない国にランクしています。
つまり、日本の財務省は国民のためにお金を使わないドケチ国家です。
特に、1990年代から緊縮財政や消費税増税が本格化し、国民所得も伸びなくなりました。1995年から2015年までの20年間の各国GDPの伸び率(成長率)を比べれば、日本の成長率はマイナス20%で世界の中でもダントツに低い国になりました。
政府がお金を出さなくなったために、国内の需要が喚起されず、消費も投資もされなくなり、国民がお金を使わなくなり貯蓄に回されているのが現状です。
しかし、政府と日銀の主導による財政政策では、日本の経済が成長しないことは、今まで30年あまりで証明されています。
これからは、民間主導で政府へ補助金の支出を呼びかけながら、エネルギー分野などの環境ビジネスや新薬の開発・医療技術の向上などへ国民ひとり一人が投資をして利益の分配を得られるような社会を構築することが、未来志向型の投資ということになります。
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