政治への無関心が経済の停滞をもたらす

2023年3月5日

日本は現在世界第三位の経済大国で紛争もなく平和ですから、国民はそれが当然だと思い慣れ切っています。

しかし、世界情勢を見ると、いつまでも平和な日本が存続する保証はありません。

明治維新により封建社会に幕を閉じ、西欧の文明を取り入れて富国強兵・殖産興業により日本は近代化をとげて欧米列強と肩をならべるまで発展しました。

その後、日本の軍国主義化がもたらした第二次世界大戦参入により壊滅的な敗戦を迎え、GHQ(連合国最高司令部)の司令官マッカーサーの民主化政策により日本国憲法が制定され現在の平和主義が訪れました。

 

 

平和は国民が積極的にかちとるもの

いわば現在の日本の平和は戦勝国のアメリカによってもたられされたのであり、国民が自主的に勝ち取った平和ではありません。

現在も日米安全保障条約の傘下で有事の際は、アメリカが日本を守ってくれると考えている日本人は多いと思います。

平和は他力本願では守れませんので、自力で勝ち取るものです。

もちろん自衛隊がありますが、これとて1950年の朝鮮戦争が起きたときに極東アジアの集団安全保障のためにアメリカの要請を受けて警察予備隊として発足した経緯があります。

隣国にはアメリカに敵対する北朝鮮、中国、ロシアという独裁国家が核開発を行い、覇権主義により経済圏を拡大しようとしています。

日本がアメリカの要請を受けて軍備を増強すればするほど、これからの独裁国家がますます覇権主義を増強するという悪循環に陥っています。

岸田首相は2027年までに防衛費をGDP(国民総生産)比2%まで拡大することを表明していますが、今、国の政策にとってもっとも必要なことは防衛費の拡充ではありません。

平和を勝ち取るためにアメリカの傘下にある日本としては、軍事力の増強に訴えるのではなく、もっと対話による平和を勝ち取る必要があります。

北朝鮮から連日ミサイルが発射されて日本政府が「重大な懸念を表明する」と言っても、北朝鮮はこの日本語を理解できるわけがありません

政府が発表する声明はあくまで国民向けであり、積極外交で平和を訴えるものではありません。

非核三原則を唱え、世界で唯一の被爆国である日本が積極外交でもっと何十回でも何百回でも膝を交えて平和の大切さをとことん話し合うことが最も重要なことです。

 

今必要なのは軍事費増強ではなく経済成長!

わが国は30年以上も続いている世界でも類を見ないほど長い低成長時代が続いています。

今一番必要なことは低成長時代に幕を閉じ、経済発展をとげることです。

これからますます深刻になる少子高齢化時代を迎えるにあたり増大する社会保障費の財源をどうするかを真剣に政治家は考えなければならない時代になっています。

現在の政治家は「選挙に通るための政治」をしているのであり「国民のための政治」をしているわけではありません。

国民もそれは分かっていながら「誰が首相になっても同じ」「自分一人選挙に行かなくても政治は変わらない」というシラケた態度をとっている人が多く見受けられます。

また、「熱しやすく冷めやすい」国民性も相まって「喉元過ぎれば熱さ忘れず」「人のうわさも七十五日」で、どんなに立派なマニフェスト(選挙公約)を掲げて国会議員になっても選挙が終われば、失言やスキャンダルで更迭になる閣僚や政治資金規正法に違反する議員などが後を絶ちません。

今の政治家は国会議員も含め地方議員まで、二世・三世議員が過半数を占めています。

国民の生活の実態を知らずに恵まれた環境で育っている議員が多いため、国民の苦しみを本当に理解している議員は少ないのです。

そういう政治家に政治を任せていたのでは国は衰退していくだけです。

大企業優先と親方日の丸で役人天下の日本にあって、行政改革により無駄な歳出を抑え社会保障の財源を拡充することが国民の労働意欲を高め消費を促しながら経済成長をする道なのです。

 

国民主権と情報公開制度

現在日本は憲法で国民主権の制度をとっていますが、政治家主権になっています。

国民主権とは、国民が政治の在り方を最終的に決定する権利をもっているという意味です。

最近では国民の意思が尊重されずに国会の審議も通さずに内閣官房室で決定されることが多くなっています。

政治家でなくとも内閣に意見を言うことができる秘書官や官僚までもが予算の使い道を意のままに扱えることを公言することがあります。

政府が決める予算も一般会計予算と特別会計予算とがあり、一般会計予算は使い道が詳細に決められますが、特別会計予算は使い道は大枠しか決められておらず政治家や官僚が恣意的に使い道を決めることが多々あります。

情報公開制度を特別会計予算にも運用すれば、いかに政治家や官僚がムダ遣いをしているが分かるはずです。

昨年末から岸田首相が唱えている防衛費増強にしても政治家や官僚のムダ使いをなくすことで、どれだけ財源を確保できるかを明らかにする必要があります。

この情報公開制度を運用するにしても国民が主体的になって政治にはたらきかけなければなりません。

 

政治を改革するために国民はもっと選挙に行くべき

憲法で基本的人権が定められ、その中に参政権があります。

参政権の中に選挙権と被選挙権がありますが、現在18歳以上のすべての男女に選挙権が与えられています。

この選挙権を勝ち取るために、世界史ではフランス革命から始まり日本では明治維新により多くの市民の犠牲がありました。

私は必ず選挙に行くようにし、また教育の現場でも生徒たちに選挙に行くように呼び掛けています。

日本人の中には「自分一人くらい選挙に行かなくても政治は良くならない」と思っている人が多いいます。

一人一人の意見が結集して大きなうねりになります。

現在日本は平和で経済的にも恵まれてきたので人々の間に切迫感がありません。

また日本は島国で大陸のように国境が陸続きでないため、隣国から侵略されにくい地形にあります。

そのため「平和ボケ」という言葉があるように日本人には権利意識も危機意識も薄いです。

第二次世界大戦の敗戦後、日本人は勤勉に働き高度経済成長を迎えましたが、現在はその恩恵を受けて個人主義崇拝時代になっているようです。

「個人の権利さえ守られていれば他人のことはどうでもよい」と思っている人々が多いです。

個人主義や合理主義は欧米から入ってきた思想ですが、欧米には各個人がそれぞれの立場と役割を自覚して社会に貢献するシステムができあがっているように思います。

例えば、キリスト教圏の国々では週1日はボランティアをする人が多いです。西欧では個人主義を維持するために助けあいの精神がバックグランドにあります。

ところが、日本では個人主義の良いところも悪いところも取り入れているため、「孤立した孤独」が随所に見られ、これから2025年に団塊の世代が超高齢化(75歳以上)するにあたり孤独死などの社会問題が発生することが十分に考えられます。

日本国憲法で基本的人権が尊重されていますが、基本的人権は自分の好き勝手に自由に行使されるものではなく、公共の福祉のもとで利用する責任があることが憲法にも明記されています。

憲法第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。 又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ

基本的人権の中には参政権という政治に参加できる権利があります。参政権の中で最も重要な権利が選挙権であり、国民ひとり一人が責任をもって政治に参加するべきなのです。

国民がまずできることとして選挙に行くことは実行しなければなりません。

日本の政治の在り方を変革し、公共の福祉のもとで個人主義が尊重され、一人一人が役割を果たせるような社会を目指すことが肝要だと考えます。

 

 

 

 

政治経済

Posted by kotaro